前のページに戻る

ススメバチの子(すずめばちのこ)球磨村

ススメバチの子のイメージ1
ススメバチの子のイメージ2
ススメバチの子のイメージ3
ススメバチの子のイメージ4
ススメバチの子のイメージ5

所在地

球磨村

利用案内

  • 駐車場:
  • トイレ:

解説

球磨郡につたわる伝承文化

まぼろしの珍味
スズメバチ

みなさんは、スズメバチを知っていますか。とても大きく恐ろしいハチですよね。とても、捕まえようなんて思いませんよね。そのスズメバチの幼虫を捕って食べようと思う人なんてあまりいないと思います。でも、球磨地方では昔からスズメバチの子を捕って食べてきたそうです。そこで、スズメバチについて、少し紹介したいと思います。
一口にスズメバチといっても、日本には7数種類いるそうです。スズメバチの子捕りの対象になるのは、球磨では主にオオスズメバチとキイロスズメバチだそうです。オオスズメバチの大きさは、働きバチで27~37mm、幼虫で大きいものは35mmほどになるそうです。キイロスズメバチは、オオスズメバチより一回り小さく、働きバチで22~27mmほどになるそうです。
幼虫の時は、バッタなどの昆虫やヘビやカエル(死んで間もない新鮮なもの)などの肉団子を食べるため、腸があるそうです。幼虫からさなぎになるときに、自分の入っている巣の穴に白いふたをします。ふたをした後、さなぎになり成虫となって出てくるまでは何も食べません。成虫は、主に樹液などを食べ物としています。
巣の大きさは、オオスズメバチの方が大きく、大きいものでは、縦1m程の卵形の殻の中に巣が7~8段ほど入っていて、幼虫やさなぎが3kgも入っていることもあるそうです。

スズメバチの武器

ところで、ハチの武器である針は、もともと何だったか知っていますか。実は、ハチの針は卵管が退化したものだそうです。ミツバチの針は、相手を刺すと相手に刺さったまま抜け、ミツバチ自身も死んでしまいます。しかし、スズメバチの針は、相手を刺しても抜けないので、何回でも使えるし折れたりしても再生するそうです。
スズメバチに刺されて亡くなった人もいると聞きますが、これは、スズメバチの毒によるショック死だそうです。含まれるヒスタミンという成分による中毒が原因だそうです。スズメバチに刺されたら、必ず死ぬというわけではありませんが、スズメバチの毒に対して体が過敏になり、2回目刺された場合は、1回目より症状はひどくなるそうです。だから、スズメバチの子を捕りに行く人の中には、抗ヒスタミン剤が含まれた風邪薬を持っていく人もいるそうです。そして、もし刺された場合は、症状がひどくならないようにすぐに飲んで、病院へ行くそうです。
ちなみに、スズメバチが刺した跡には特徴があって、3つの傷が残るそうです。1つが針で刺した傷、残りの2つが刺すときに噛みついた跡だそうです。
みなさんは、ハチが近づいてくると、刺されるかもしれないと思って追い払おうとしませんか。普通人間が何もしない限り、ハチも人間を襲ってくることはほとんどありません。ただし、オオスズメバチやキイロスズメバチは攻撃性が非常に強く、人が近づいただけで襲ってくる事がありますので十分な注意が必要です。また他のハチでもハチが興奮しているときは、動くものや臭いのするもの(香水、整髪料)に対して、攻撃を仕掛けてくるそうです。ハチと出会ったら、追い払おうとせずゆっくり後ずさりするといいそうです。

巣の見つけ方

キイロスズメバチは、木の枝・岩のくぼみ・橋の下などの見晴らしのいいところに巣を作るそうです。ですから、キイロスズメバチの巣を探すときには、岩の多いところを見て回ったり、見晴らしのいい橋の上から探すそうです。
オオスズメバチは、土の中や枯れた木の中に巣を作ることが多いそうです。ですから、親バチに目印を付け、後を追いかけるそうです。
まず、目印を付ける親バチを見つけなくてはなりません。親バチは幼虫と違い、クワガタやカブトムシのように主にクヌギの樹液をえさとしていますので、クヌギの木を中心に探します。親バチを見つけたら、バッタなどの昆虫を棒の先にさして近づけてやります。すると、幼虫のために肉団子を作り始めるそうです。肉団子を作っている間は、作業に集中しているのでとまっている棒をゆっくり動かしても気付かないそうです。肉団子を作っている間に、棒をゆっくりと手の届くところまでおろし、親バチの体に目印になる細長いビニールのひもを付けるそうです。ビニールのひもで作った輪をお尻の方から通し、腹部と胸部の境目にあるくびれの部分に、抜けない程度に輪を絞ってつけるそうです。
肉団子を作り終わった親バチは、幼虫のために肉団子を巣に持ち帰り、仲間を連れてくるそうです。連れてきた仲間数匹にも目印をつけたら、見失わないように巣を見つけるまで後を追います。追いかけるといっても、人間の足では到底親バチにはかないません。なぜなら、親バチは、1分間に1km移動するそうです。しかも、山や谷を越えて行くそうです。
もし、私たちが1分間に1km移動するためには、100mを6秒で走らなければなりません。ちなみに、人間の100mの世界記録は9秒代です。どうやって親バチの後を追うのでしょう。
実は、親バチは、必ず同じところを通るそうです。ですから、双眼鏡を使って親バチがどこを通ったかを見ておいて、見えなくなった所まで移動します。また、そこで双眼鏡を使ってどこを通ったかを見て、見えなくなった場所まで移動します。これを巣が見つかるまで何度も繰り返すそうです。 途中、山や谷を越えて行くため、時には木に登って親バチを探すこともあるそうです。ただし、親バチは、尾行されていることに気付いたらコースを変更するそうです。

ハチの巣をとる

巣を見つけたら、採るわけですがこの作業は命がけです。この作業は、昼間よりも夜の方が安全だそうです。なぜなら、夜はハチが全部巣に帰っているからだそうです。この作業で命を落とした人もいるそうです。
まず、スズメバチに刺されないように、全身をすっぽり覆う専用の服装に着替えます。次に、煙玉(煙がたくさんでる花火)を巣の中に入れて、入口をふさぎます。中では、スズメバチが二酸化炭素で麻酔されたような状態になっていますので、その間に巣を取り出して持ち帰るそうです。ただし、スズメバチが全滅しないように巣の一部を残すそうです

スズメバチの子を料理する前に

巣を持ち帰ったら、まず、幼虫やさなぎを巣から出さなくてはなりません。巣から出すためには、ピンセットを使って傷を付けないように慎重に出していきます。ただし、成虫になって巣からでる直前のものもいますので、気を付けて行うそうです。幼虫は、大きいもので大人の小指くらいあります。

スズメバチの子を使った食べ物

【一般的な調理方法(ハチの子400gの場合)】

フライパンで炒めます

(1)身を固めるために、熱湯で3~5分ゆでる。(蒸してもいいそうです。)
(2)フライパンに多めの油をひいて3~5分炒ります。
(3)炒ったら、黒砂糖20~50g、醤油45cc、みりんを少々入れて、煮詰めたら完成。

【姿揚げ(成虫)】

(1)ゆでて、身を固める。
(2)油で揚げる。
(3)好みで塩を振りかけて完成。

【スズメバチ焼酎】

生きた成虫を、一升の焼酎に対して15~20匹入れておいて、焼酎が黄色になったら完成。

【みそ汁】

(1)幼虫をゆでる。
(2)ゆでた幼虫をすり鉢ですりつぶす。
(3)すりつぶしたものをだしにして、みそ汁を作る。
※具には、豆腐がいいそうです。

スズメバチの子は滅多に食べる事ができない珍味です。機会があればぜひチャレンジしてみて下さい。

関連する情報

灰汁巻(あくまき)

ページの先頭へ戻る