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灰汁巻(あくまき)球磨村

灰汁巻のイメージ1
灰汁巻のイメージ2

所在地

熊本県球磨郡

利用案内

  • 駐車場:
  • トイレ:

解説

南九州独自の粽(ちまき)

昔のおやつって何だろう?

「よけまん」っていう言葉をご存じですか。球磨では仕事の合間の休憩に食べるおやつの事を「よけまん」といいます。田植えの時などよけまん作りも主婦の大事な仕事で、「茗荷まんじゅう」、ヨモギを使った「長まんじゅう」、あんこをまぶした「ねったくりだご」、大豆を入れた「豆だご」、きなこや、味噌、黒砂糖などをまぶした「いでだご」などさまざまな団子、まんじゅうが作られます。

「まき」ってどんなもの

今から紹介しますのは「よけまん」ではなく、5月5日の端午の節句のためにつくる粽(ちまき)です。昔の人吉球磨地方の粽は、あんこの入った「まき」といわれるものがほとんどです。「まき」は寒ざらし粉(餅米を水で洗って乾燥させ、粉にしたものです。「ゆーらみ」ともいう。)と麦の粉(つなぎに使う)を3対1で混ぜ、竹の皮に包んで、ゆでたり蒸したりしたものです。まきの中には、小豆のあんこを入れて作るのが球磨郡では一般的です。米の粉と麦の粉の割合は各家庭で異なり、柔らかいものは「ゆーらみが多か」といわれたそうです。まきを包む竹の皮は、唐竹(とうちく)や孟宗竹の皮が用いられ、それも各家庭によって違っていたようです。

「灰汁巻(あくまき)」ってどんなもの?

「まき」とは別に「灰汁巻(あくまき)」というものも作られていました。この灰汁巻は、その名の通り木の灰を使います。「昔のお風呂はほとんどが薪(まき)を使ってお湯をわかしていましたし、人吉球磨地方は樫(かし)などの雑木が豊富でしたので、容易にいい灰が手に入りました。もち米を包むための竹の皮もこの時期になると各家庭に売って歩く人がいたものです。子どもの頃は、母の手伝いとして、灰汁巻を煮るときの火の番をよくやりました。」と地元の方から聞きました。
球磨では「灰汁巻」はもともと鹿児島から伝わった粽で、昔は戦の時の兵糧として使われたそうです。兵糧に使うのは、灰汁巻が腐りにくくとても長持ちするからだそうです。朝鮮の役や関ヶ原の役で、島津軍がこの灰汁巻を持参したという話もあります。しかし、これと同様のちまきは中国で6世紀に出版された「斉民要術」という本に紹介されおり、日本では平安時代にまとめられた百科事典ともいうべき「和名抄」という本に「朝比奈ちまき」の名で紹介されています。平安時代以前に中国から我が国に伝えられたものが南九州にだけ残されたようで、いわば貴重な文化遺産です。 残念ながら、いい「灰」が手に入らない、大きな釜(茶い釜等)、孟宗竹の皮が必要、作るのに手間暇がかかるなどの理由で、今では作る人があまりいなくなってきました。それでも、先代から伝えてこられているところがありましたので簡単に作り方を紹介します。
準備する物:もち米、竹の皮(孟宗竹を使う。水につけて、あく抜きをしておく。)、木灰(かしを使う。広葉樹が適している。これで味の善し悪しが決まる。)大きな釜(長時間煮るので、薪(まき)を使うのがベスト。)

作り方

1洗ったもち米を、一晩中灰汁につけておき、水を切る。
2もち米を竹の皮で包み、皮を細く裂いたものでしばる。
3釜に竹の皮で包んだものとたっぷりの灰汁を入れ、4~5時間煮る。(灰汁が減ってきたら水を足す。)
できあがったら、皮をむいて輪切りにし、きな粉砂糖や醤油砂糖などをつけて食べてください。

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