野田哲也

 野田哲也は宇城市出身の版画家で、東京藝術大学に進学するまでを不知火町で過ごしました。1930年代に日米で活躍した画家の野田英夫は伯父にあたります。野田が生まれる1年前に英夫は他界しているので直接の交流はありませんが、実家の壁に飾られた伯父の絵を見て育ちました。
 野田が長年にわたり制作している「日記シリーズ」は、何気ない日常を自ら写真に撮って版画にした作品です。テーマは極めて私的なものですが、見る人は共感を覚え、独特の視線やユーモアにくすりとさせられることも。
 日々の暮らしを作品にする野田と時代をたくましく生きる人々を描いた伯父の英夫。身近な風景を偽りのないまなざしで描く制作姿勢には、相通じるものがある―と野田自らも語っています。
 現在も活躍し続ける野田は、世界有数の博物館であるイギリスの大英博物館に作品約130点が収蔵されており、同館で個展も開催されるなど、世界的にも高い評価を受けています。

野田哲也《Augst 19th ’76》1976

 

作者略歴

1940年 熊本県宇土郡不知火町桂原(現 宇城市不知火町)に生まれる。
1965年 東京芸術大学大学院絵画研究科油絵専攻修了。
1968年 東京国際版画ビエンナーレ 国際大賞。
1971年 サンパウロビエンナーレ。
1972年 ベニスビエンナーレ(グラフィックインターナショナル部門)。
1977年 リュブリアナ国際版画ビエンナーレ 大賞。
         イギリス巡回展「機械化されたイメージ:20世紀版画の歴史的展望」。
                                                         (イギリスアートカウンシル主催)
1978年 ノルウェー国際版画ビエンナーレ 大賞。
1980年 「刷られた芸術:20年間の展望」(ニューヨーク近代美術館)
1982年 「1945年以後の日本の近代美術」(東京国立近代美術館)
1983年 「1900年以後の日本の版画」(大英博物館)
1987年 リュブリアナ国際版画ビエンナーレ 名誉大賞。
1990年 「20世紀日本版画の革新と伝統」(アメリカ シンシナティ美術館)
1992年 「戦後の日本版画展」(町田市立国際版画美術館)
1998年 「フォトイメージ:60年代から90年代の版画」(アメリカ ボストン美術館)
         「タッチストーン:リトグラフ200年」(アメリカ ハーバード大学サックラー美術館)
2000年 「日本美術の20世紀」(東京都現代美術館)
2001年 個展(東京 フジテレビジョンギャラリー)
2002年 「未完の世紀:20世紀美術がのこすもの」(東京国立近代美術館)
         「紙による現代美術作品:近年の買い上げ作品から」(アメリカ サンフランシスコ美術館)
2003年 「MOTマニュアル:おだやかな日々」(東京都現代美術館)
         「開館50周年記念:コレクションのあゆみ展(東京国立近代美術館)
     紫綬褒章を受章。
2004年 「ある人生の日々:野田哲也の芸術」(サンフランシスコ アジア美術館)
2005年 個展「野田哲也版画の世界展」(宇城市不知火美術館)

 

 

 

 

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