霜野康平寺の仏像群(しものこうへいじのぶつぞうぐん)山鹿市
所在地
山鹿市鹿央町霜野
利用案内
- 駐車場:約20台
- トイレ:あり
解説
康平寺の歴史
山鹿市鹿央町の南西、この地域では最高峰(388m)の国見山の東のふもとに、霜野地区の「康平寺」がひっそりとたたずんでいます。その歴史は古く、平安時代の康平元年(1058年)に建立されたことから、康平寺というようになったと伝えられています。最盛期には霜野の谷々に九十九(つくも、たくさんあるという意味)の天台宗寺院があり「一大山岳寺院ゾーン」だったと考えられています。 しかし、時代の移り変わりとともに衰え、現在の康平寺は江戸時代に建てられました。そのときには寄付を集めており、寄付を集めるためのチラシを印刷した版木が現在も残っています。それには、荒れ果てた寺と朽ちていく仏像をなんとか修復しようと、泣かんばかりに寄付を集めようとする人びとの願いが書いてあります。
また、平成5年(1993年)、収蔵庫に仏像を移した際に、大発見がありました。千手観音像の台座に「天明六年四月成就」(天明6年=1786年)と墨で書いてありました。この発見で、江戸時代に康平寺の再建が実際に行われ、そのときに多くの仏像の補修も行われたことが確認されました。
すぐれた仏像群
現在の康平寺観音堂内には、30体以上の木造の仏像が残っており、平安時代の地蔵菩薩像や、鎌倉時代の千手観音像と二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)像があります。
戦国時代の戦乱や明治時代初期に起こった廃仏毀釈運動のなかでも焼失や破壊をまぬがれ、まとまって伝えられているのは全国でもあまり例がなく、たいへん貴重なものとされています。
参考文献
鹿央町史編纂室 編『鹿央町史』鹿央町、1989年
周辺情報
霜野地区には康平寺関連の史跡が散在するほか、国見山では「やすらぎの森」の1万本の楠の木がまばゆいばかりの新緑を提供し、澄んだ谷川では「熊本ホタルの里100選」に選ばれたホタルの舞いを、初夏に見ることができます。