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栴檀轟(せんだんとどろ)八代市

栴檀轟のイメージ

所在地

八代市泉町柿迫

利用案内

  • 駐車場:無料駐車場 約30台
  • トイレ:あり

解説

五家荘の奥にただずむ名滝

九州の秘境、五家荘(ごかのしょう)の大瀑布(だいばくふ)

九州中央山地国定公園の南西に位置する平家の落人伝説で有名な五木・五家荘地区。近年、道路が整備され、車で奥まで訪れることができるようになってきましたが、それまでは本当に九州の秘境でした。日本三大急流球磨川の支流川辺川のさらに支流笹越川にかかっているのがこの栴檀轟(せんだんとどろ)の滝です。日本の滝100選にも選ばれ、高さ80m幅3~4mの大きな滝です。途中、さえぎるものはなく、一気に滝壺まで80mを流れ落ちる直瀑(ちょくばく)です。その迫力は、周囲の木々の優しさとは対象に男性的で非常に力強いものがあります。

なぜ、栴檀轟(せんだんとどろ)なのか? ”とどろ”とは、滝のこと

泉町にはこの栴檀轟(せんだんとどろ)の他にも梅の木轟(うめのきとどろ)の滝も有名です。”轟”は、”とどろき”とは読まずに”とどろ”と読みます。五家荘では滝のことを轟(とどろ)と言い、滝の後に轟(とどろ)の字が付くことが多いです。この滝の名前となっている栴檀轟(せんだんとどろ)の滝とは、昔、滝周辺には栴檀(せんだん)の大木があったことからこの名前が付いたと言われています。

滝はどのようにしてできたのか?

泉町は、九州中央山地の南西部にあたり、標高1500mを越える山々が連なっています。この滝の周辺の地質は、古生代中部二畳系(2.25~2.8億年前)に堆積(たいせき)したもので、砂岩、頁岩(けつがん)などの砕屑性堆積岩(さいせつせいたいせきがん)を主とし、石灰岩やチャートなどの地層も見られます。
滝の上部は、チャート層の断崖にかかっているので水の浸食に対して抵抗力が強いのです。しかし、滝の下部は、比較的柔らかい砂岩や粘板岩(ねんばんがん)でできているので、水の浸食を受けやすく、その水の浸食により深く削り込まれ、滝と深い渓谷ができました。また、崖の下部には、赤っぽい細かな縞目がいくつか見られ、急傾斜で上流側に傾いています。この縞目は層理であり、堆積後に地殻変動(ちかくへんどう)があったことを表しています。

自然が豊かな五家荘 

五家荘(ごかのしょう)地区は五木五家荘県立自然公園にも指定され、豊かなすばらしい自然が残されています。滝の周囲は広葉樹の自然林がそのまま残され、たくさんの樹木や植物を観察することができます。楓(かえで)や樫(かし)、櫨(はぜ)、欅(けやき)などの広葉樹林(こうようじゅりん)が広がり、特に秋の紅葉の時期には色鮮やかな木々が見られ、多くの観光客が訪れます。10月末から11月上旬の紅葉のシーズンの休日は渋滞することもありますが、泉町一帯が一方通行となり自家用車でかえって訪れやすくなります。それだけでなく、夏の新緑の頃や冬の雪化粧もまた違った趣があります。

参考文献

国土交通省 九州地方整備局 九州技術事務所ホームページ
熊本の風土とこころ編集委員会 『熊本の風土と心シリーズ 3 熊本の自然 』熊本日日新聞社 1977
  熊本の風土とこころ編集委員会  『熊本の風土とこころシリーズ 第2集 16 熊本の名勝百景』 熊本日日新聞社 1979

周辺情報

滝の下流には吊り橋があり、そこから見上げる滝の様子も一見の価値があります。また、近くの見どころには、五家荘平家の里(樅木)、平家落人伝説の緒方家(椎原)、菅原一族の子孫左座家(小原)樅木の吊り橋、梅の木轟公園などがあります。公共交通機関がなく、大型バスも通行できませんので注意が必要です。

地図

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