梅の木轟(うめのきとどろ)八代市
所在地
八代市泉町仁田尾
利用案内
- 駐車場:10台
- トイレ:あり
解説
平家伝説薫る・・幻の滝!
国道445号線の二本杉峠から車で15分ほど南下すると、大きな吊り橋が目に入ってきます。深い渓谷に白いリボンを垂らしたような吊り橋は、ロープや支柱がなく宙に浮いたように見えます。この吊り橋が梅の木轟(うめのきとどろ)公園吊り橋で、長さが116m、高さが55mあり、PC(プレキャストコンクリート)吊床版橋としては日本一の吊り橋です。
おそるおそる渡ってみると、意外にも橋はしっかりしており、支柱など視界をさえぎる物がないため、深いV字谷にはさまれた周囲の素晴らしい景色を存分に楽しむことができます。吊り橋を渡ると、梅の木轟まで約300mです。遊歩道に沿って進んで行くと、渓流の流れる音に混じって滝の落ちる音が聞こえますが姿は見えません。そこから小さな吊り橋を渡り、大きな岩陰を過ぎると何段にも重なり合って落ちてくる荘厳な滝の姿が目に飛び込んできます。
こんな滝です
梅の木轟は福根谷(ふくねだに)を流れ落ちる滝で、高さは38mです。この辺では滝のことを轟(とどろ)と呼びますが、栴檀轟(せんだんとどろ)と並び泉村を代表する滝です。栴檀轟は高さが80mもあり、その雄大さ、迫力ある姿は男性的であるのに対して、梅の木轟はどこか気品があり、女性的であるといわれています。そこに滝があることは知られていましたが、険しい地形のため人目に触れることは少なく、幻の滝といわれていました。しかし昭和61年、遊歩道が完成し、平成元年、梅の木轟公園吊り橋が完成したのをきっかけに景勝地になりました。
また泉村の地質図を見ると、このあたりは新生代の阿蘇の火砕流堆積物や、古生代や中生代の石灰岩、チャート、緑色岩類、泥岩などの地層が分布しています。梅の木轟の崖は固いチャートでできています。
五家荘(ごかのしょう)の地形
五家荘は仁田尾(にたお)、樅木(もみき)、久連子(くれこ)、椎原(しいばる)、葉木(はぎ)の5つの地区の総称ですが、現在は標高1500mを超える山々に囲まれた、険しい山岳地帯で九州中央山地国定公園になっています。九州中央山地の西部は球磨山地と呼ばれていますが、北東端に県内最高峰の国見岳(1739m)があり、昔はここから南西に向かって起伏の小さい平原をなしていたそうです。その平原が今のような険しい地形になったのは地盤の上昇の結果であり、大地のエネルギーの大きさに感心します。
参考文献
五家荘の会「泉村の自然」編集委員会 『泉村の自然』 泉村役場 1993
渡辺一徳ほか 『土地分類基本調査 5万分の1表層地質図 「砥用」』 熊本県 1984
周辺情報
周辺には、栴檀轟(せんだんとどろ)、平家の里、樅木(もみき)の吊り橋などがあります。