ロマンロードのわくど石(奇石)(ろまんろーどのわくどいし・きせき)山鹿市
所在地
山鹿市鹿央町合里
利用案内
- 駐車場:ロマンロード入り口に5台分あり
- トイレ:駐車場に簡易トイレあり
解説
何で山の頂上にこんな大きな奇石(わくど石)があるのだろうか?
わくど石の概要
鹿央町合里の岩倉という集落の近くの山(岩戸の山204m)の頂上や途中の山肌に大きな岩がたくさんあります。どうして山の頂上や山肌に大きな岩があるのか、とても不思議な感じです。山の頂上の大きな岩は、縦4m×横4m×高さ3mくらいあり「わくど石」とよばれています。ロマンロードと名付けられた登山道がふもとから頂上まで整備されていますが、その途中にも同じような大きな岩が数個露出しています。頂上の奇石の中にはきれいに半分に切られたような岩が真っ直ぐに立っているものもあり、どうやってこんな格好になったのか、どうも不思議な感じの奇石群です。
わくど石ってどういう岩石なの?
わくど石(奇石)は、「カコウセンリョク岩」と呼ばれる、マグマが地下深いところでゆっくりゆっくり冷え固まってできた火成岩です。そういう地下数十kmのところでできた岩石が、山の頂上にゴロっところがるようにあるというのは、とても不思議な感じがします。さらに奇岩は、全部丸みをおびており川などに転がって侵食されたようなあとを感じさせますので、なおさら「どうして、今、山の上に大岩があるのか。」と不思議さは増すばかりです。
不思議その1
わくど石が特に不思議な岩石と考えられるのは、一つには、周囲の山々が、阿蘇山の火山灰に覆われた岩石(凝灰岩)でできているのに、この辺一体だけに「カコウセンリョク岩」があることです。岩戸の山は、玉名の小岱山などと同じ、「玉名カコウ岩」が地表にあらわれてできた山です。地下深いところでゆっくり冷えてできた岩石も、長い年月の間に、土地が隆起し、上にのっていた岩石が削られていくと地表にその姿を現します。ヒマラヤなどの山頂近くで、昔海の中にすんでいた生物の化石が見つかるのも同じ理由です。阿蘇が大噴火してこの辺一体を火山灰で覆ったときには、岩戸の山はすでにできており、岩戸の山の周囲を取り囲むようにして火山灰の小高い山ができたため、後から「わくど石」を運んできたように見えるのです。
不思議その2
もう一つは、角が丸まっている巨岩、切り取られたようにスパッと割れている岩石の形です。固い岩石も、長い年月の間に雨水や、太陽の熱などによって徐々に削られていきます。これを「風化」といいます。深成岩が、冷えて固まるときにも冷え方の違いから大きな1つの固まりにならず、いくつかのひびが入ったような固まりになります。また、地表に出てくるまで様々な力を受け、大きな深成岩の固まりにもひびが入ります。このひびに雨水などがしみこみ、徐々に小さなブロックになっていきます。地表に表れてくると、ブロックの間の細かな土砂は洗い流されていきます。
さらに地表では、気温の差により、岩石のひびに入った水が氷になってひびを広げ「風化」を進めていきます。このようにして「風化」と「侵食」を繰り返すうちに山頂近くに残された岩石が現在「わくど石」として私たちに不思議な光景を見せてくれるのです。
参考文献
「日本の地質 九州地方」編集委員会 『日本の地質9 九州地方』 共立出版 1992
周辺情報
近くには、県立装飾古墳館、江田船山古墳、トンカラリン、二子塚古墳、長岩横穴古墳群などたくさんの見どころがあります。