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蘇陽峡(そようきょう)山都町

蘇陽峡のイメージ

所在地

上益城郡山都町今

利用案内

  • 駐車場:旧役場裏(国道からの入り口狭し)バス3台
  • トイレ:なし

解説

九州のグランドキャニオン・蘇陽峡(そようきょう)

蘇陽峡は、阿蘇外輪山の伏流水を集めた清流、五ヶ瀬川の浸食によって形づくられた峡谷です。この一帯は、阿蘇の南外輪山に連なる高原で、阿蘇溶結凝灰岩が台地をつくっています。この台地を五ヶ瀬川が永年にわたって削り取り、この蘇陽峡やさらに下流に位置する高千穂峡を形づくってきました。
昭和初期、この地を訪れた国立公園審議委員の方が「この峡谷は河川の浸食により生じた地形(普通、V字谷を形成する)だが、氷河地形のU字型に似ている」と述べられたそうです。蘇陽峡の幅は200~300mにもおよび、さらにその深さも150~200mにも達しています。また、切り立った絶壁は約13kmも続いています。
春は鮮やかな新緑を、秋にはみごとな紅葉を楽しむことができます。

近くから観察してみよう

旧蘇陽町今村の旧役場裏から、2Kmほど下っていくと五ヶ瀬川にたどりつきます。この間、道路左手の壁には阿蘇火山の火砕流堆積物を観察することができます。これらは、約30~9万年前に阿蘇火山から噴出され、この旧蘇陽町まで達したものです。(坂道を下っていくにつれ、だんだんと時代が古くなります。)
阿蘇火山は約30万年前から現在まで4回の大規模な噴火を起こしています。噴火の時には大量の噴出物が低地や谷を埋め尽くすように流れる火砕流という現象が起きました。この火砕流によって運ばれた噴出物が堆積(たいせき)したものを火砕流堆積物といいます。それぞれの噴火の堆積物について、蘇陽峡付近での特徴を少し紹介しましょう。

Aso−4火砕流堆積物

今村から蘇陽峡に下る道で最初に観察できる堆積物です。約9万年前の噴出物で台地の最上部を形作っています。溶結(火砕流堆積物の熱と自重によって固まること)しておらず、つぶれていない白色の軽石が多く含まれています。また、よく観察すると小さな黒い針のようにみえる角セン石という鉱物の結晶もあります。

Aso−3火砕流堆積物

急な崖をつくっている火砕流堆積物です。強く溶結している部分が崖になっています。この堆積物は約12万年前の噴出物です。褐色の上層部はまだ固まっていなくて、約20m下位くらいから弱く溶結(固まって)しています。さらに下位にいくにつれて強く溶結し固くなっています。Aso−3火砕流堆積物層の一番下の部分からは水が湧出しており、この豊富な地下水は、一帯の生活用水として利用されています。
下部の強溶結部分には、黒色でガラス質(きらきらした感じ)の黒曜石レンズが含まれています。

Aso−2火砕流堆積物

 急な崖下の斜面を形作っている火砕流堆積物です。この堆積物は、約15万年前の噴出物です。結度(固まり具合)はやや弱く、スコリア(黒色の軽石)を含んでいます。

Aso−1火砕流堆積物

 約30万年前の噴出物。強く溶結していて、灰黒色あるいは赤褐色をしています。道沿いの露頭で観察することはできませんが、五ヶ瀬川の川底に分布しています。

参考文献

松本幡郎 『蘇陽町誌 自然編2 地質』 蘇陽町 1996
田中伸廣 『自然と文化阿蘇選書8 阿蘇山と水』 一の宮町 2000
松本幡郎 『蘇陽町地質図』 蘇陽町 1995
藤本雅太郎「蘇陽峡の地質」『熊本地学会誌128号』 2001

周辺情報

近くの見どころとしては、そよ風パーク、服掛松キャンプ場、幣立神宮、舟の口水源、馬見原橋(熊本アートポリス参加作品)などがあります。

地図

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