前のページに戻る

娑婆神峠(さばがみとうげ)宇城市

娑婆神峠のイメージ

所在地

宇城市小川町河江

利用案内

  • 駐車場:なし
  • トイレ:なし

解説

大地の変動で地形が変わった

断層地形をながめてみよう!

豊野町中心部を抜け、豊野町下郷から小川町中小野へぬける道の途中に、娑婆神峠があります。ここは古くから交通の要所であり、古い石畳の道も残っています。また、旧薩摩街道であったといわれています。豊野町から上るとこの娑婆神峠を越えてすぐのところに陸橋がかかっています。そこから南のほうをながめると、木立がひらけ、すばらしい景色をながめられます。
右手(西)側には八代平野が広がっています。そして、左手(東)側には山がせまってきています。この境は南西方向・日奈久方面に直線的にのびています。実は、この急な山地と広い平地の境には日奈久断層がのびています。

日奈久断層って・・?

実は、熊本県は大小さまざまな活断層が分布しています。この「活断層」とは、「約200万年前から現在(第四紀とよばれる地質時代)にくり返し動き、将来も活動すると考えられる断層」のことです。最近では、1995年の阪神・淡路大震災や2004年の中越地震などがこの活断層によると考えられています。活断層が活動すると地震が起こります。とくに、この活断層の活動は地表に比較的近いところで起こり、「直下型地震」とよばれ大きな被害をもたらすことがあります。そのため、活断層についての調査・研究が各地で行われています。
この日奈久断層についても熊本県が主体となって大規模な調査が平成9年に行われています。 この日奈久断層は、本州中部地方から紀伊半島、四国、そして、大分からここへつながっている中央構造線の一部であると考えられています。これまでの調査・研究によるとこの日奈久断層の活動によって右ずれが起こることが多く、また、北西側つまり八代平野側が低下していることがわかっています。

断層による地形の変化

断層によって横方向や縦方向にずれが生じます。そのことがさまざまな形で地形に影響を与えます。その中で、この娑婆神峠周辺地域では河川のずれ(水系屈曲)が調べられています(千田.1979)。また、山の尾根が伸びるところで断層で切られるときにできる「三角末端面」もこの日奈久断層沿いに見ることができます。

参考文献

千田昇 「日奈久断層の第四期における断層運動」 東北地理 1979
鶴田孝三・渡辺一徳 「熊本平野南東部に見られる活断層群」『熊本地学会誌』 1978
九州活構造研究会『九州の活構造』 東京大学出版会 1989
活断層研究会 『新編「日本の活断層」』 東京大学出版会 1991
渡辺一徳 「熊本の地質と活断層(平成7年度技術講習会資料13~36)」 熊本県地質調査業協会 1995
『平成9年度日奈久断層に関する調査成果報告書』 熊本県 1999

周辺情報

近くには、娑婆神峠の石畳、おばせの観音山・十一面観音などがあります。

地図

ページの先頭へ戻る