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馬門石(まかどいし)宇土市

馬門石のイメージ1
馬門石のイメージ2

所在地

宇土市網津町馬門

利用案内

  • 駐車場:3台程度駐車可
  • トイレ:なし

解説

ピンク色をした石(馬門石)

ここで紹介するピンク色をした石は、宇土市網津町馬門(まかど)地方にしか見られない珍しい石です。馬門付近に行くと、神社の鳥居がこのピンク色をした馬門石でつくられているなど、石材として利用されていることが分かります。この石は、近くの網津川から馬門地方の山側に入ったところで見られます。採石場への道案内が示されています。

どうやってできたのでしょうか

この馬門石は、阿蘇火砕流堆積物です。約9万年前、阿蘇で最大規模の火山活動が起こり、高温の火山灰や軽石等が、火砕流となって火口から低地へ流れ下りました。そのときできた堆積物を阿蘇火砕流堆積物と呼んでいます。この堆積物は九州各県に広がるもので、その規模は大変おおきなものです。
火砕流は熱を保ったまま堆積し、多くの場合、中に含まれている軽石は溶けてつぶれた状態になり、黒いレンズ状の模様をつくっています。このようにしてできた岩石は、高温であったため全体も溶けて固まったようになっており、たたくと焼き物のように響く音がします。そこで、溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)とも呼びます。しかし、この馬門地方の阿蘇火砕流堆積物は、火口から離れているためか軽石が比較的溶けておらず、全体的にも柔らかい岩石となっているものが多いようです。近くの網津川周辺や川底には、灰色の阿蘇火砕流堆積物がよく露出しています。理由はよく分かりませんが、馬門地方のものはなぜかピンク色をしています。

石材としての利用

馬門石は、ピンク色で美しく、柔らかいため加工もしやすい岩石です。近くの鳥居がこの石でできているように、石材として様々な利用がなされたようです。宇土市では、江戸時代から水道管として使われており、現在も現役として給水を続けています。また、宇土市中心部の船場橋も、馬門石で造られていることでよく知られており、石の観察にも適しています。さらに古墳時代では中国地方や近畿地方まで運ばれ、豪族を埋葬する石棺として使われたという歴史も明らかにされています。

参考文献

渡辺一徳 『自然と文化 阿蘇選書7 阿蘇火山の生い立ち』 一の宮町 2001
久野 久 『火山及び火山岩』 岩波書店 1976
宇土市教育委員会 『私たちの宇土市~歴史編~』 宇土市 1998

周辺情報

近くには、あじさいの湯や住吉自然公園があります。

地図

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