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御興来のふとん岩(おこしきのふとんいわ)宇土市

御興来のふとん岩のイメージ1
御興来のふとん岩のイメージ2

所在地

宇土市下網田町御興来

利用案内

  • 駐車場:バス停「御興来」近くの公園に約30台
  • トイレ:近くの公園にあり

解説

ふとんのように折れ曲がった岩

宇土市JR網田駅から、国道沿いに約1km三角方面に向かうと、国道から海側の岩場に降りたところにふとんが折り畳まれたような珍しい形の岩が海岸沿いに見られます。この場所は御興来海岸(おこしきかいがん)と呼ばれるところです。岩は低い位置にあるため、満潮時は観察範囲が狭くなるので注意が必要です。干潮時には、海岸線に沿って地層の重なりを広く観察することができます。

「ふとん岩」について

ふとん岩は、その名の通り、ふとんが折りたたまれたように見える岩です。地層がぐにゃっと折れ曲がっているので、そのように見えます。
柔らかそうにも見えますが、泥岩や砂岩でできたたいへんかたい岩です。 このような不思議な形をした岩はどのようにしてできたのでしょうか。
地層はもとは海などに泥や砂などが平らに積み重なってできたものです。しかし、海底斜面に堆積したまだ軟らかい泥や砂が、地震などによって海底地滑りを起こすと、堆積物が折れ曲がって積み重なり、折れ曲がった地層ができます。この地層が、押し固められ硬い地層になり、このような奇岩ができたというわけです。

地層の折れ曲がりはしゅう曲(しゅうきょく)と呼ばれています。しゅう曲は大地に大きな力が加わってできる場合もありますが、このような海底地滑りによってできる場合もあるのです。
折れ曲がった地層は周囲にいくつも見られますが、それより下に見られる地層は折れ曲がることなく平らな面で重なっており、普通に堆積していた場所に、海底地すべりによる堆積物が上から重なったことを意味しています。また、この奇岩の近くで花崗岩(かこうがん)の大きな岩が、平らな地層にめり込むように入っているのも見られ、過去に起こった大地の変動を想像させます。

アンモナイトが出る地層

ふとん岩をつくっている地層は、姫浦層群(ひめのうらそうぐん)と呼ばれています。姫浦層群は三角町から天草方面の島々にも広く分布しており、今から約7000万年程前の地層であることが分かっています。
この地層はアンモナイトやイノセラムスなどの大型化石の産出でも有名です。三角町の石打ダム資料館には、この地層から出た大きなアンモナイトの化石が展示されています。したがって、このふとん岩付近の地層からもアンモナイトの化石が出る可能性は十分あります。
御興来海岸の姫浦層群は、砂岩と泥岩が数cm~10cm程の間隔で細かく積み重なっているのが特徴で、全体として黒っぽく見えます。地層をよく観察すると、岩の表面に不思議な模様を見ることができます。この模様は、生痕化石(せいこんかせき)と呼ばれ、海底に棲んでいた生物のはい跡と考えられています。

参考文献

田代正之 『天草の地質と化石 人類以前の天草諸島1』 南の風社 1997
田代正之 『天草諸島の形成と日本列島 人類以前の天草諸島2』 南の風社 1997
日本の地質「九州地方」編集委員会 『日本の地質9「九州地方」』 共立出版 1992

周辺情報

近くには、道の駅「宇土マリーナ」網田焼の里資料館などがあります。

地図

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