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手野の名水(てののめいすい)阿蘇市

手野の名水のイメージ

所在地

阿蘇市一の宮町手野

利用案内

  • 駐車場:車3~4台ほどのスペースあり
  • トイレ:なし

解説

道端で、心を潤す手野の名水

こんな所に湧水が

旧一の宮町の国造(こくぞう)神社の横を抜け、平成9年にできた「阿蘇一の宮グリーンロード」を1kmほど上った右手に「手野の名水」と呼ばれる湧水があります。巨大な阿蘇溶結凝灰岩の割れ目から音を立てて水が湧き出ています。この場所は西手野のお年寄り有志によって整備され、アジサイが植えられています。案内板には「長寿の水」「癒しの水」と書かれています。

わき出す水は

 湧水の温度は13.1℃で、夏は冷たく、冬は暖かく感じます。また、イオン成分量を示す電気伝導率は62μS/cm(注1)と、平均的な地下水の値より小さいそうです。この水について、試薬を使い調べたところ、pH6.8、総アルカリ度20mg/l、総硬度25mg/l、亜硝酸性窒素0.5mg/l、硝酸性窒素0mg/lでした。

地元の方の話では

利用者の方の話では、癖がなくとてもおいしいとのことでした。ご飯を炊くにも、お味噌汁を作るにもこの水を使うという話も聞きました。この手野の水は、雨が降っても濁らないし、湧水の量も増減はあまりないということでした。水を汲む樋から推測すると1秒間に約250ミリリットルほどの湧水量ですが、見た目には、もっと多いように感じます。

周りの崖を見てみよう

この「手野の水」は、阿蘇溶結凝灰岩の割れ目から湧き出ています。この阿蘇溶結凝灰岩は、阿蘇−2火砕流堆積物からなる溶結凝灰岩です。阿蘇−2火砕流堆積物は、「手野の水」付近で強く溶結していて、黒曜石がレンズ状に圧縮された形がよく見られます。また、冷却時の柱状節理も発達していて、縦方向の割れ目をたくさん見ることができます。

「手野の水」から少し道を下ると、赤茶けた粘土のような崖が見えます。これが阿蘇−1火砕流堆積物の風化帯です。粘土状になっていて水を通さない地層となっています。

以上のことから「手野の水」は、阿蘇−2火砕流堆積物の節理(割れ目)を通った水が、その下位の不透水層に支えられ湧き出しているものと考えられます。

(注1)Sは、コンダクタンスの単位でジーメンスと呼ぶ(1S=1A/V)。

参考文献

田中伸廣 『自然と文化阿蘇選書8 阿蘇山と水』 一の宮町 2000
渡辺一徳 『自然と文化阿蘇選書7 阿蘇火山の生い立ち』 一の宮町 2001
田口清行「阿蘇一の宮グリーンロード沿いに見られる阿蘇火砕流堆積物」『熊本地学会誌127』 熊本地学会 2001

周辺情報

近くには、国造神社、古代の里キャンプ場があります。湧水は古代の里キャンプ場にそそいでいます。

地図

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