一町田八幡宮虫追い祭(いっちょうだはちまんぐうむしおいまつり)天草市
所在地
天草市河浦町河浦
利用案内
- 駐車場:あり
- トイレ:あり
解説
豊作を祈る農民の祭り
虫追い祭の起源
起源としては、はっきりとしてはいませんが、寛永年間(1630年)ごろ、一町田地区で害虫が大発生し、稲作はもとよりすべての作物や草木に至るまで全滅の状態だったそうです。これを見かねた一老婆が、氏神様に赤い絹布を奉納し、数日間昼夜を通して害虫退散の祈願をしたそうです。そしてその赤い絹布をもって、田畑の害虫を追い払ったところ、不思議にもその地区の害虫は一瞬にして退散し、ききんの難を逃れたと言われています。
その後、田植え過ぎの豊作祈願祭に、赤い絹の布を形取った旗を立て、虫追いの祈願行事となって現在まで受け継がれてきています。
現在の虫追い祭
戦前は、氏子(うじこ)の各組々から旗を奉納され、15本くらいも勢揃いし、裏山の緑をバックに五色の吹き流しが鮮やかに映えて豪壮なものであったそうです。
現在、虫追い旗は、大旗が7本残っています。吹き流しの布は、長さ2m50cm、幅30cmの絹布を利用し、なるだけ軽くしています。色は5色で、1本の旗竿に20枚から25枚つけてあります。旗竿は竹で作られ、長さは15~20mもあり、布をつけた重さは30~40kgにもなります。普通一人では持てない重さですが、微風に旗の布がはためく浮力によって、片手で軽々と持てるようになっています。頭や手のひら、肩や腹の上にのせて技能を競うこともあったようです。
虫追い祭は現在、7月の上旬又は中旬に毎年行われています。まず、一町田八幡宮で祈願祭を済ませ、葛河内(つづらがわち)十五社宮へ行きます。十五社宮では、今から虫追い行事が始まりますという意味の虫おこし祭が行われます。虫がゆっくりしているところを起こして、上手の方から下手の方へ虫を追い立てていくという意味があります。また、各地区に虫追い旗の準備をしなさいという合図にもなっています。それから、集合場所の一町田小学校に向かっていきます。途中途中の田の傍らに御弊(ごへい)を立てていきます。御弊は全部で12本立てますが、それは、虫追いがその場所まで終わったことを表しています。夕方になると各地区から集まってきた虫追い旗が、子どもの持つ12本の旗とともに一堂に会し、鐘と太鼓のはやしに合わせ、田を見渡す堤防沿いを勇壮に練り歩きます。五色の旗がゆらめく姿がとっても美しいです。
参考文献
『河浦町の文化財』 河浦町教育委員会