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勢井神社のお祭り(ぜいじんじゃのおまつり)美里町

勢井神社のお祭りのイメージ1
勢井神社のお祭りのイメージ2

所在地

下益城郡美里町遠野

利用案内

  • 駐車場:あり
  • トイレ:なし

解説

村人の楽しみ春の願上祭り

勢井神社は、美しい棚田が連なる美里町の大井早地区勢井にあり、うっそうとした杉やケヤキの大木に囲まれています。勢井神社は、現在神社のある場所から数百メートル東の大辻に、1460年に阿蘇家の勧請で創建されたと伝えられています。しかし、天正年間にキリシタン大名として有名な宇土城主小西行長の兵火をこうむり社殿や古文書などが燃やされてしまい、そのあと、現在の場所に作り直されたという言い伝えのある神社です。勢井神社では、一年で一番にぎやかなお祭り「願成祭り」が桜の花見の頃に行われます。元々、4月の吉日と旧暦の9月29日に大祭の日が催されていました。しかし、秋のお祭りは稲の収穫に時期に重なり、忙しいことなどから4月の吉日(第1または第2日曜日)の願成だけが今も受け継がれています。
さて、この神社の境内には神殿・拝殿のほかに、舞台の建物があります。神事の後、境内の舞台で芝居が行われるためです。50年ほど前までは、歌舞伎(かぶき)や浄瑠璃(じょうるり)が行われ、地域のほとんどの人が農作業を休んで見に行っていたそうです。今では、歌舞伎などは行われなくなりましたが、旅芝居の一座を呼んで公演が行われています。
この芝居の見物席が、今でも竹やわらなどを使って、地域の人々の手作りで行われています。氏子(うじこ)の15地区の人々が輪番で当番である受け前となり、桟敷を作ったり、祭りの準備をします。桟敷は、竹を組んだ枠組みに、わらを編んでしきりを作り、上部は檜の葉で飾ります。わらの編み方などは、農作業で使うわらの編み方と同じで、祭りと農業が密接に結びつていることがわかります。今では、稲刈りはコンバインなどの機械で行われ、わらを利用することも少なくなりましたが、美里町の棚田では、稲の掛け干しが行われ、わらが利用されているのです。棚田を守り続ける地域の人々の暮らしや願いと神社のお祭りが、勢井神社の春の願成祭りには受け継がれているのです。

参考文献

下田 曲水 『砥用町史』 砥用町 1964

地図

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