前のページに戻る

阿蘇高菜(あそたかな)阿蘇市

阿蘇高菜のイメージ

所在地

阿蘇市

利用案内

  • 駐車場:
  • トイレ:

解説

阿蘇の名物高菜漬け

阿蘇高菜はアブラナ科の植物カラシナの一種です。中央アジアが原産地と言われ、インド・西アジア・北アフリカには香辛料(黄ガラシ・マスタード)の原料として広まり、東アジア・中国には野菜として広まったと言います。日本へは9~10世紀ころの文献に「多加菜」「加良之」などの記載があり、この時代に、中国から伝えられた物と考えられています。
カラシナには数多くの品種があり、阿蘇高菜以外にも、広島菜、野沢菜、ザーサイなど漬け物にされる品種が数多くあります。九州で高菜と言えば阿蘇高菜と三池高菜が有名ですが、両者は別の品種です。三池高菜は明治時代に中国から入ってきた多肉性タカナと呼ばれるグループであるのに対し、阿蘇高菜はハカラシナと言うグループで、野沢菜などと同じグループに分類されています。
阿蘇高菜はだいたい10月頃に種蒔きが行われ、冬を越して3月から4月にかけて収穫されます。高菜は折れるところから手で折り、その日の内に洗って、塩もみをし、樽につけ込みます。3日から5日もすれば食べられます。漬け込んですぐの新漬けは、青々と色も鮮やかで、ぴりっと辛みがきいておいしいものです。また二ヶ月以上たってあめ色になった古漬けは保存食として一年を通して食べられます。洗って刻んで食べるほか、油炒めにしたり、高菜めし、高菜ピラフにするなど様々な楽しみ方があります。
JA阿蘇の農産加工部会では、昔ながらの製法を使って、次のようにして阿蘇高菜漬を作っています。以前は「さじぼ」という、茎が細く先が長い種類を使っていましたが、現在は、ほかの種類も入れ、早生・中間・晩生と分けて10月10日過ぎから植えつけを行っています。これは、収穫の時期を1週間から10日ずつずらすためです。収穫した高菜は、3月中旬から4月中旬にかけて漬け込み、1年半たって真空パックにして商品としています。漬け込む期間が短いとパックづめの後ガスが出ることもあるので、これだけの期間漬け込むことにしているそうです。現在は、いろいろな食品添加物を使ったり、阿蘇以外の土地で取れた高菜を使ったものが「阿蘇高菜漬」として売られていることもありますが、昔ながらの作り方を大切にしてこれからも伝えていきたいということでした。希望があれば、阿蘇郡内の学校に出かけて行くほか、訪ねて来た学校の生徒にも伝統の高菜漬けの作り方について教えたりしているとのことでした。

参考文献

書 熊本の食事(日本の食生活全集43)』 農山村文化協会 1987

ページの先頭へ戻る