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郡浦の天神クスノキ(こうのうらのてんじんくすのき)宇城市

郡浦の天神クスノキ

所在地

宇城市三角町中村

利用案内

  • 駐車場:なし
  • トイレ:なし

解説

郡浦の氏神様は樹齢1000年を越える大クスノキ!

地区の「守り木」

熊本市から国道3号を南下し宇城市松橋町で国道266号に入り不知火海を左手に見ながら海岸線を30分ほど走ると、右手にこんもりとした森が見えてきます。ここから国道と別れ、旧郡浦小学校を目指して右折するとその森が一本の大木を中心にしていることが次第にわかってきます。さらに切り通しの小道を進むととクスノキの巨木が目に入ります。このクスノキは昭和34年に県の天然記念物に指定された「天神のクスノキ」です。その大きさは胸高の周囲14.4m、根回り30.5m、樹高23mで、枝張りは東西30m、南北29mにおよんでいます。さらに主幹の中は畳六畳ほどの空洞になり、その上から枝分かれしています。枝分かれの基部に腐葉土が堆積し、ヤブランなどの植物が生えています。クスノキの巨木は県下に多い中で1番の大きさといわれています。その樹齢は千年以上だと推定されています。
県下の国指定の天然記念物のなかの一つに藤崎台のクスノキ群がありますが、その7本の幹囲が10mほどであるのを考えますと「天神のクスノキ」はいかに大きいものであるかがわかります。

「天神のクスノキ」のいわれ

このクスノキのある「上本庄」地区の氏神様として江戸時代には御神体に祀り、崇め信仰してきたと言い伝えがあります。はっきりとわかっていることは明治25年頃、太宰府天満宮より職旗を贈られお祀りし、学問の神様としての信仰が続いていると言うことです。現在も11月25日に郡浦神社の神主を呼び、地区総出での例祭が行われています。

千有余年を経て

文献によると昭和16年1月31日朝、内部の空洞から出火し、そのときの消火活動で6本の枝分かれしたうちの1本を切り落として5本になったとの記録が見られます。なお、当日の消火活動は下の川からバケツリレーで行われたといわれています。また、平成3年9月27日の台風19号で、一番大きな枝が折れ、心配されましたが、手当の甲斐あり、樹勢を取り戻し今日に至っています。現在でも学問の神様としての参詣はもちろんのこと、疫病、諸災害、交通安全の祈願にも訪れる地域の人も多く、地域の守り神となっています。
人間の暮らしと常に隣り合わせである人里の自然環境が激変する中で、人々の信仰を集め、鎮守の森の主として崇め守られてきた老樹銘木は各地にあります。「天神の樟」も未曾有の災害をのりこえながら刻々とした地域の人々の営みを見続けてきた生き証人としてこれからも大切にされていくことと思います。

参考文献

『三角町公民館報』 三角町公民館 1960
熊本記念植物採集会編 『熊本県植物誌』 長崎書店 1969
三角町史編纂協議会専門委員会 『三角町史』 三角町 1987

周辺情報

高野山(有明海、不知火海の眺望)、三角岳(天翔台からの眺望)、三角西港(明治三大築港の一つ)

地図

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