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鼠蔵島のキノクニスゲ(そぞうじまのきのくにすげ)八代市

鼠蔵島のキノクニスゲのイメージ1
鼠蔵島のキノクニスゲのイメージ2

所在地

八代市鼠蔵町

利用案内

  • 駐車場:公民館前10台、堤防沿い多数(交通の妨げにならないところ)
  • トイレ:なし

解説

陸地になってしまった鼠蔵島(そぞうじま)と干潟

現在、球磨川の河口近くにある鼠蔵島(大鼠蔵島、小鼠蔵島)は江戸時代末期頃の干拓事業で陸続きになり、たんぼの中に小高いこんもりとした森となってその姿をとどめています。この島では古墳時代の石棺や埋蔵品などが発掘され、当時の人々と深い関わりがあったことが知られています。大鼠蔵島は海抜30~40m、長さ400m、幅100mほどで、球磨川をはさんで対岸には万葉集に歌われている水島があります。
鼠蔵島のすぐ南側には干潮時には広い干潟が現れ、夏にはシギ、チドリのなかまが、冬にはオオズグロカモメも飛来します。オオズグロカモメが、日本で定期的に飛来する場所はここだけです。そのため、貴重な観察ポイントとして知られています。

鼠蔵島のみに生育する珍しいキノクニスゲ

鼠蔵島(大鼠蔵島、小鼠蔵島)は共に周囲は崖や急斜面で、かつて海水や球磨川の水による侵食作用をうけたあとが見られます。上部はゆるやかな起伏をなしています。大鼠蔵島は砂や泥をもとにして出来た砂岩や泥岩で形成され、小鼠蔵島は石灰岩も見られます。
島に生育している樹木は高さ5~15mほどで、アラカシ、エノキ、ムクノキ、クスノキ、センダン、ハゼノキ、タブ、トベラが中心で、樹木の下の林床の植物の種類は少なく、テイカカズラ、ノシラン、キノクニスゲ、ホソバカナワラビ等が見られます。特に島の南側のアコウは高さ14m、幹周りが7.9mあり、海抜40mの島の高所にあるクスノキは高さ17.5m、幹周り6.6mで他の樹木に比べ大木です。
この島の崖や林の中にキノクニスゲといわれる植物が見られます。昔、雨具の蓑笠(みのかさ)をつくるときに利用したスゲのなかまです。茎は高さ30~40cm、葉は厚く光沢があり、幅は8~12mmで大きな株をつくっています。林内のあちこちで容易に観察できます。しかし、多くの島や海岸があるのに、熊本県内ではここだけにしか見られない珍しい植物です。

参考文献

熊本記念植物採集会編『熊本県植物誌』長崎書店 1969
『日本の野生植物1草本単子葉類』平凡社 1982
『くまもとの希少な野生動植物熊本県版レッドデータブック』熊本県 1998
蓑田田鶴男『金剛の歴史』八代市第六中学校PTA 1959
『原色日本植物図鑑草本編下』保育社 1969

周辺情報

球磨川をはさんで対岸には万葉集に歌われている水島があります。

地図

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