モウセンゴケ(もうせんごけ)山江村
所在地
球磨郡山江村別府
利用案内
- 駐車場:道路沿い
- トイレ:なし
解説
食虫植物モウセンゴケをさがしてみよう
モウセンゴケの特徴と生育環境
食虫植物とは、昆虫などを捕らえて栄養とする植物のことです。その中で、モウセンゴケは葉にたくさんついた毛にねばねばした液体がついていて、これで虫を捕らえるので、とりもち式と言えるでしょう。しかもその液体が虫の体内に染み込んでいき、虫の体を溶かしてしまいます。
花の時期は6月~8月ごろで、淡い赤色の花をつけるれっきとした種子植物で、コケと名前がついてますがちゃんと種子で増えます。ただし、日が良くあたる湿り気の多いがけなどを好むので、道路の整備が進んだため、最近ほとんど見かけなくなりました。見つけても採らずに、写真で撮ってください。山江村では道路事情が良くなりすぎて減少した植物です。
山江村のモウセンゴケ
山江村別府(びゅう)は相良村との境にあります。相良と山江を結ぶ道路がつくられていて、その途中の農道を入ってすぐの崖(がけ)に生育しています。とても日当たりがよく、冬でもじわじわと水が流れてくる粘土層(ねんどそう)表面に幅約50cm、長さ約20mに渡って広がっています。雑草が生えていない粘土層が露出(ろしゅつ)した部分に密生(みっせい)して生えているのを見ると、道路の整備によってなくなりつつあるモウセンゴケが、こんな身近なところにあるんだというだけで感動します。
春には葉が赤っぽい色から緑色に変わり、全体として大きくなっていきます。夏には花をつけて種子植物であることがわかります。冬には数も減り赤っぽい葉で小さなものだけが残ります。季節を追うごとに変化している食虫植物モウセンゴケを身近に見られるとてもいい場所です。このような自然をしっかり残しながら、道路整備や土地改良をしていってもらいたいと思います。もし近くを通ったら、自然観察の一環としてぜひ寄ってみてモウセンゴケが元気に生きているのを見ていってください。人吉球磨ではこのほかにも須恵中学校にも生えていて、中学校で直接見られる生きた教材となっています。人吉球磨で見られる身近な食虫植物の1つとして、山江村のモウセンゴケを紹介しました。
参考文献
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠夫 『日本の野生植物・フィールド版・草本編』 平凡社 1999
周辺情報
近くには、温泉「茶湯里」、相良村「瀬戸の堤」などがあります。