根子岳の植物(ねこだけのしょくぶつ)高森町
所在地
阿蘇郡高森町
利用案内
- 駐車場:登山道入り口に10台
- トイレ:なし
解説
根子岳の植物
根子岳は、阿蘇の中央火口丘群の中で唯一、自然林が残っています。森林が残っているのは標高900mを越える地域の急な崖地です。ここは土壌が浅く、乾燥と強い風のため、樹木の生育は悪く、風衝低木林と呼ばれる高さ3~5mほどの低木林が発達しています。林内には、ナナカマドやヤシャブシ、コミネカエデ、ノリウツギなどのやや高い木があり、その中にオオヤマレンゲやタンナサワフタギ、ニシキウツギなどの低木が見られます。また、地表は草本に覆われていて、オオマルバノテンニンソウやニシノヤマタイミンガサ、ハガクレツリフネ、キバナアキギリ、ヤマアジサイ、ヒメノガリヤスなどが生育しています。
この低木林は尾根に近づくにつれて、さらに低くなり尾根の部分ではコツクバネウツギやウスノキなどが混じるミヤマキリシマ群落になります。林内には、マイヅルソウやイワカガミ、ヤマアジサイ、ヤマカモジグサなどが見られます。
根子岳の上部に見られるタマガワホトトギスやイヨフウロ、オオヤマレンゲ、ウバタケニンジン、バイカツツジ、ニシキウツギなどは阿蘇の他の地域では見られないもので、根子岳山頂付近が阿蘇の中でも特異な場所であることを示しています。
ノリウツギ(アジサイ科APGⅡ分類体系)
花期は7~8月。真夏の頃、アジサイの花が縦に伸びたような形をした真っ白な花を至る所で見ることができる。
オオマルバノテンニンソウ(シソ科)
花期は9~10月。あまり多くはないが、あるところには一面に群生する。ピンクの穂状の花は、「筑紫見返り草」とも呼ばれるほど美しい。
オオヤマレンゲ(モクレン科)
花期は5~7月。ハクモクレンを小さく丸くしたような花が下向きに咲く。実に上品は白色で、高山植物の女王の名もある。
ハガクレツリフネ(ツリフネソウ科)
花期は8~10月。平地の水辺にあるツリフネソウと異なり、花が葉の下につり下がって咲く。
イワカガミ(イワウメ科)
花期は4~7月。日当たりの良い岩場で、可憐なピンクの花を咲かせる。葉の表面に光沢があり、それを鏡に見立てた。
マイヅルソウ(キジカクシ科APGⅡ分類体系)
花期は5~6月、白くて小さな花が葉の上に咲く。高さは5~10cm。秋には丸くて赤い実がなる。
参考文献
今江正知・村岡節男 『阿蘇の植物便覧』 熊本県 1982
今江正知編 『自然と生き物の讃歌』 一の宮町 2001
周辺情報
近くには、阿蘇野草園、休暇村南阿蘇、南阿蘇ビジターセンター、高森温泉館などがあります。また、高森峠や高岳、中岳、丸山、日ノ尾峠などの登山が楽しめます。