一心行の大桜(いっしんぎょうのおおざくら)南阿蘇村
所在地
阿蘇郡南阿蘇村中松
利用案内
- 駐車場:花期のみ臨時駐車場
- トイレ:あり
解説
年間20万人もの人が訪れる大桜
一心行の大桜ってどんなサクラ?
南阿蘇村(旧白水村)中松地区には、一心行の大桜と呼ばれる大きな桜があります。種類は、不明でしたが、遺伝子の解析の結果、ヤマザクラであることが判りました。木の年齢はおよそ400才といわれており、木の高さは14m、幹の周りは7.35m、枝の張り具合は東西に21.3m、南北に26mもあります。平成3年11月11日には、ふるさと熊本の樹木に登録されました。
一心行の由来
この桜の老樹は、中村(峰)伯耆守惟冬(なかむら(みね)ほうきのかみこれふゆ)が眠るとされる墓地の菩提樹になっています。惟冬は、天正年間峰村に建築された鶴翼城に住んでいたとき、阿蘇家の命令を受け熊本県宇土郡内にあったとされる矢崎城城代もまかされるようになりました。しかし、今から400余年前、1580(天正8)年に島津の侵略により戦火に散りました。残された妻子、少数の家臣は峰村に戻り、戦死した惟冬と一族の霊を供養するために桜の木を植え、一心に行をおさめたといいます。このことから、「一心行」という名がついたとされます。
一心行の大桜の現状
この桜がある場所は、私有墓地であり、その所有者の先祖代々の菩提樹です。もともと畑地の中にポツンと立っていたことから、遠くからも目立つ巨大な樹木で、約50数年前の落雷により幹が6本にさけたために現在の木の形になっています。樹木の活力度(元気度)は中程度で、台風などによる傷、空洞や腐食菌による被害がでており、「くまもと緑の財団」により養生が行われています。平成16年の度重なる台風により、大枝2本が折れ、樹形がかなり変わりました。写真は、大枝が折れる前のものです。
観光と保存
墓地と共に桜の所有者である峰茂さん(南阿蘇村中松在住)によると平成3年以降、年々開花が遅くなっているようです。特にここ数年は、多数の訪れる観光客による根元の踏み固めにより、南側の幹の傾きが進行し続け、倒れるおそれがでてきました。そこで、南阿蘇村(旧白水村)では、桜の保存のために峰氏と相談の上、柵を建築、根元付近への立ち入りを禁止することにしました。平成10年4月からは、多くの人に桜を可愛がっていただこうと、地元の協力により「南阿蘇桜さくら植木まつり」を開催し、桜保護への理解と保存対策への協力を呼びかけています。こうした中、年々観光客は増え続け、毎年20万余りの人がこの大桜を見に訪れています。
周辺情報
近くには、塩井社水源、寺坂水源、湧沢津水源、池の川水源などの水源地の他に、馬口が岩の馬頭観音などがあります。