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遊水峡のカジカガエル(ゆうすいきょうのかじかがえる)小国町

遊水峡のカジカガエルのイメージ1
遊水峡のカジカガエルのイメージ2

所在地

阿蘇郡小国町二俣

利用案内

  • 駐車場:あり
  • トイレ:あり

解説

川の滑り台で鳴き交わすカエル

遊水峡はどんなところ?

遊水峡は、小国町の北部、杖立川の支流宇土谷に刻まれた峡谷の中にあります。阿蘇の火山活動で噴出した火砕流が固まった溶結凝灰岩でできた岩盤が川の浸食活動によって露出し、ゆるやかでなめらかな河床になったものです。河床のあちらこちらに、おう穴ができており、大きなものは直径2mほどの窪みをつくり、ウォーター・シュートならぬ川の滑り台になっています。
川の周辺は、遊水社が管理運営をして、上流の滝までの渓谷沿いの遊歩道整備や渓谷全体の維持管理の他キャンプ場の設営をしています。
亀防山と吉武山の中間を水源とする川の水は澄んでおり、アブラメ(タカハヤ。本州のアブラハヤの近似種)などの魚が泳ぐほか、水辺では光沢のある緑色の尾と黒いはねを持って水面を飛び交うハグロトンボや褐色の羽を持つ大型のミヤマカワトンボなどのトンボが多く見られます。また、夏のはじめには無数のホタルが飛び交う中、なにやら美しい鳴き声が川面から湧きあがってきます。

鳴き声の主は?

春から夏にかけて「フィヨ、フィヨ……」と涼しげな鳴き声が聞こえます。鹿の鳴き声に似ていることから、河鹿蛙(カジカガエル)という名で呼ばれ、古くから詩歌に詠まれ、日本の夏の風物詩になっています。 日本の本州、四国、九州の山地の渓流とその周辺の森に生息します。4月から始まる繁殖期には、渓流の流れから出た岩の上に雄が縄張りをつくって、あごの下の鳴のうをふくらませて、「フィヨ、フィヨ……」と鳴いて雌を引きつけます。
産卵は、水中の石の下にもぐって、50個から80個ほどの卵を石の下の面にくっつけるようにして産みます。孵化した幼生(オタマジャクシ)は、水底の砂利や小石の間で生活します。餌は、石の表面に着生した藻類を削り取るようにして食べ、尾の先端までが4cm程の大きさになる9月頃にかけて変態し、上陸して小さな蛙になります。
かつては、川の本流から支流までの至る所でたくさんの鳴き声を聞くことができましたが、工事等の影響で産卵に適した河床が減少したり、生活排水等による水質の悪化で幼生の生息や成長が難しくなって、生息域がずいぶんと狭くなりました。しかし、自然が豊かに残る川の支流などでは、まだ、多くの鳴き声を聞くことができます。
遊水峡のカジカガエルの数はとりわけ多く、産卵期には昼間でも十数頭の鳴き声を聞くことができます。最盛期の夕暮れには数十頭の鳴き声が峡谷に響き渡ります。

カジカガエルをさがしてみよう

警戒心の強い蛙で、近づくと流れの中に逃げます。しかし、流れから出た岩の上で鳴く雄は、観察が容易です。体の色は石に似た灰色を基調に小さな斑点が散らばります。大きさは5cm程で指先には吸盤を持っています。

参考文献

田中伸廣 『自然と文化阿蘇選書8 阿蘇山と水』 一の宮町 2000
前田憲男・松井正文 『日本カエル図鑑』 文一総合出版 1999
奥山風太郎 『山渓ハンディ図鑑 日本のカエル』 山と渓谷社

周辺情報

ここは、遊水峡キャンプ場として整備されています。近くには、国指定天然記念物「下の城のイチョウ」があります。

地図

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