芦北・水俣の海岸段丘(あしきた・みなまたのかいがんだんきゅう)津奈木町
所在地
葦北郡津奈木町
利用案内
- 駐車場:とんとん峠:10台程度駐車可、西湯の児公園:なし
- トイレ:なし
解説
海水面の変化によってできる地形
津奈木から水俣市湯の児にかけての海岸地形
芦北海岸(芦北・津奈木)から湯の児海岸にかけては、海岸線の出入りが複雑なリアス式海岸として有名なところです。しかし、これらの海岸をちょっと離れた地点から眺めてみると、リアス式海岸という地形だけではなく、半島部分が小高い平坦な丘となっている海岸段丘という地形も見られます。一般的に、リアス式海岸は土地の沈降によってでき、海岸段丘は土地の隆起によってできる地形だと紹介されており、これらが両方見られるのも不思議な気がします。
段丘が見やすいスポットの紹介
水俣市から津奈木町にかけた海岸段丘の中で、観察しやすいスポットを3カ所紹介します。
その1:水俣市湯の児
国道3号線を南下し、水俣市役所を西へ右折します。さらに大橋手前を北へ右折し丘陵を上ると、トントン峠という展望所に出ます。ここから北東方面を臨むと、湯の児の段丘面、さらには津奈木町犬瀬崎半島や赤尾の段丘面を見ることができます。また、その峠を湯の児方面に下っていくと西湯の児公園があります。この公園の展望所からは、先ほどと同じ段丘面を見ることができます。また、湯の児島のノッチや干潮時には3つ島がつながる地形も見ることができます。丘陵地の海岸をしから津奈木町日当の丘から南西方向を望み、手前に赤崎小学校と赤尾島があり、その奥に犬瀬崎半島が丘陵地として見られます。
その2:津奈木町大泊の道路
津奈木町役場前の道路から津奈木大橋を渡り、分かれ道を道なりに丘陵地を次第に上っていき700mほど進みます。道路沿いの広いスペースから南西方面を臨むと、水俣市湯の児海岸の和田岬を含む半島が丘陵地として見ることができます。海岸線から数十mの部分に1段目、さらに高い部分にももう一段平坦な部分が見られ、そこには国立水俣病研究センターが建っています。この段丘は、水俣市街地からも見ることができ、特に西部の梅戸地区からは段丘として見やすくなっています。
その3:水俣市国立水俣病研究センター前
先ほどのトントン峠を左折し500mほど行くと国立水俣病研究センターがあります。センター前の丘から南西方面を臨むと、水俣明神崎の段丘面を見ることができます。現在この段丘面には、水俣市立水俣病資料館・熊本県環境センター・国立水俣病情報センターが建っています。この段丘は、水俣市梅戸地区や水俣港付近からも見ることができます。
海水面の変化と海岸で見られる地形の関係
海水面が高くなる場合
これまで陸地であった部分が海水面下に沈みます。すると、標高の高いところで流速の速い水によって削られたできた谷と尾根の部分が海岸線まで下がってきます。この結果、出入りの激しい海岸線の地形ができ、これを「リアス式海岸」といいます。さらに海水面が高くなると、尾根の一部が海岸線から離れたところに点々と散らばるような地形ができます。これを「多島海」といいます。
海水面が低くなる場合
これまで海水面下の地形が陸上に見えるようになります。すると、海水中に水平に堆積したものが陸上に出て、平らな丘陵地となった地形ができます。これを「海岸段丘」といいます。
参考文献
高橋俊正 『地形分類図「水俣・出水」』 熊本県 1987
村上浩二 『地域の自然を生かす地学副教材の作成と活用』 1994
岩本政教 『熊本の自然・熊本の風土とこころ3』 熊本日日新聞社 1977
大野朗久 『熊本地理Vol.1』 熊本地理学会 1990
周辺情報
近くには、湯の児海水浴場、湯の児温泉、ドンガバチョ号などがあります。