宮原の祇園獅子舞(みやのはらのぎおんししまい)小国町
所在地
阿蘇郡小国町宮原
利用案内
- 駐車場:あり
- トイレ:あり
解説
山里に残る美しく優雅な獅子舞
祇園社の獅子舞
宮原の祇園社は両神社境内に祀られています。このお宮のお祭りが、7月24日、25日に行われます。この時に非常に優美な獅子舞が奉納されます。獅子は二人立ちの獅子で雌雄の二頭が出ます。黒塗りの獅子頭に緑の胴幕を使っているのが雄で、朱の獅子頭に茶の胴幕を使っている方が雌です。また、曲目によっては唐団扇(とううちわ。1m強の竹の棒の先に、六角形に竹を編み、金紙や五色の紙で飾ったものが付いている)が付きます。また、「かご牡丹」と言う演目ではアオキを紅白の造花で飾った牡丹2本を使います。お囃子として太鼓と笛が付きます。
祭りの前日の夜(ヨドといいます)、7時半頃から神社の前で獅子舞が奉納されます。この時は今伝わっている「カケ」「キリン」「ラン」「キリンの地振り」「キリンの玉ねぶり」「キリンの曲」「相楽」「かご牡丹」8段すべてが舞われます。
24日は朝から両神社内にある宮司宅で3段、皿山にある宮司本宅で2段が舞われます。この後、雌雄の獅子は別々に町内の家を廻ります。これを家払い、魔払いと言います。廻る家には獅子の頭に付けてあった御幣(ごへい)を1本づつ配ります。これは魔よけのお守りとして家に飾られます。夕方4時半頃、お宮でお祭りが始まります。この時は「カケ」「キリン」「かご牡丹」の3段が舞われます。この間に御神霊が御輿に移され、5時半から獅子を先頭に殿町の御仮屋まで神幸行列が行われます。御仮屋では「カケ」「キリン」「ラン」「キリンの曲」「かご牡丹」の5段が奉納されます。
25日も朝から各家を廻る魔払いを行います。4時半に御仮屋で「カケ」「キリン」「ラン」の3段を舞った後、還御(かんぎょ)の神幸行列の先導を勤め、神社に帰ります。神社では八段が舞われます。
獅子を舞うのは宮原町に四町内ある内、上町の人たちです。頭は大人が、尻は中学生までの子供が勤めます。前が背が高く後ろが低くなるのでよその獅子より姿がいいと言います。宮原では祇園の獅子が出ないと夕立が上がらないと言います。祭りが済むと夏本番となります。
獅子舞の各段の構成
第一段「カケ」:眠り獅子ともいう。雄獅子は向かって左手の奥に立ち、雌獅子は向かって右手の手前に伏せる。まず雄獅子がでて時計方向に2周して中央にしいてあるむしろの上に伏して眠る。雌獅子が立つと雄獅子も立って、雄獅子を先頭に2頭一緒に時計回りに廻る。 第二段「キリン」:中央の雄獅子が左手、雌獅子が右手に向かい合って立つ。囃子が始まると時計方向に回り、雌雄が位置を変え、首を振りながら舞う。
第三段「ラン」:ここでは唐団扇(とううちわ)を使う。唐団扇とは直径60cmあまりの正6角形に竹を編んでつくったもの中央に金色の紙を巴型に張り、周囲に五色の紙を飾ったものである。団扇使いと雌雄の獅子が舞う。
第四段「きりんの地振り」:むしろが敷かれ、雌獅子が伏して頭を左右に振る。雄獅子は立っており、時計回りに半周して、立場を変えて雄獅子が伏して左右に振り、雌獅子が立ち、時計回りに半周して位置を変えて舞う。
第五段「きりんの曲」:雄獅子が子供を肩車に乗せて舞い、雌獅子は大人が尾の部分に入って舞う。
第六段「きりんの玉ねぶり」:むしろの上に石を置き、それを挟んで、雄獅子は左手から出て時計回りに一周して椅子に座る。雌獅子は立ち上がり、向かい合って激しく踊る。
第七段「相楽」:雄獅子と雌獅子が向かい合って、ゆっくりと時計回りに2周して、向かい合って乱舞する。
第八段「かご牡丹」:雄獅子、雌獅子の前方にそれぞれ牡丹を立てる。雄獅子が立って動き出して、牡丹に食らいつく。雌獅子も立ち上がり、雌雄並んで一気に牡丹に食らいつく。その後雌雄が向かい合って舞い時計回りに一周して終わる。
参考文献
禿迷廬 『小国郷史』 河津泰雄 1960
神道文化会 『高千穂・阿蘇 復刻版』 原書房 1981
『熊本県文化財調査報告第120集 くまもとの民俗芸能』 熊本県教育委員会編集・発行 1991
周辺情報
近くには、「鏡ヶ池」があります。少し足をのばせば坂本善三美術館、阿弥陀杉、下城イチョウ、杖立温泉などがあります。