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倉岳町のヒモヅル(くらたけまちのひもづる)天草市

倉岳町のヒモヅルのイメージ

所在地

天草市倉岳町浦

利用案内

  • 駐車場:なし
  • トイレ:なし

解説

木に這い上がる珍しいシダ植物

県指定天然記念物「ヒモヅル」

上天草市松島町教良木(きょうらぎ)から倉岳町棚底(たなそこ)へ通じる県道59号線のちょうど峠あたりに「投石」(なげいし)というバス停がありますが、そこから大谷集落(姫戸町)の方へ50m程進むと、道の左側の雑木林(ぞうきばやし)に、木によじ登る何やら見なれないコケのお化けみたいな植物が現れます。これが「ヒモヅル」です。
この植物は、昭和6年、谷山民治・富田貞の両氏によりこの地で見い出され、これが日本で最初の発見となりました。また、発見には、薪(まき)売りの荷についていたヒモヅルの一片がきっかけになったというエピソードが残っているそうです。南方系の珍しいシダ植物で、昭和34年に県の天然記念物に指定されました。県道から大谷集落への入り口に「熊本県指定天然記念物 ヒモヅル」の石標が建っています。

「ヒモヅル」のようす

生育地は、アカマツ、カクレミノ、ヤマハゼ、コナラなどからなるまばらな林で、林の下はやや湿り気があるような場所です。ヒモヅルは、林の下や周辺に生育するウラジロやコシダの上をはい回ったり、樹木によじ登ったりしています。高いものは5m程に達し、下から見上げると茎を伸ばしてよじ上っているようすがよく観察でき、よくもあんなに高く登れるものだと感心してしまいます。しかし、生育する場所は、長さ10m程のごく狭い範囲で、乾燥したところや道の反対側のヒノキ林では見られませんでした。

「ヒモヅル」ってどんな植物

「ヒモヅル」は、見かけはコケのようですが、コケではなく、シダ植物です。直径5mmほどの茎を伸ばし、枝分かれした茎が、木にからみついて広がったりよじ登ったりします。
冬には、胞子嚢穂(ほうしのうすい)を葉の先につけ、ここから胞子をとばして、なかまをふやします。

「ヒモヅル」の分布

ヒモヅルは、天草では、ここ以外でも何ヶ所か観察できますが、個体数が限られていて、大変貴重な植物です。また、天草以外での生育は確認されていません。地球温暖化が進めば、ひょっとするとさらに分布が広がったり、北上したりするするかもしれません。「−レッドデータくまもと2004−」では、絶滅危惧I B類(E N)に指定されています。

参考文献

西岡鐵夫編著『熊本の天然記念物熊本の風土とこころ第2集22』熊本日日新聞社 1980
『熊本県の文化財第5集天然記念物・刀剣』熊本県教育委員会編集・発行 1985
岩槻邦男編『日本の野生植物シダ』平凡社 1992
熊本県希少野生動植物検討委員会編著『熊本県の保護上重要な野生生物リスト−レッドリストくまもと2004−』熊本県環境生活部自然保護課 2004

地図

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