作品紹介 「松合の風景C」栗崎英男

04-010松合の風景C(栗崎英男) 栗崎英男は海老原喜之助に師事し、熊日展など数々の公募展で受賞を重ねました。スケッチやペン画は、踊るような自由闊達な線が特色です。油彩画は、外遊先スペインの空気をよくうつしています。
 2016年3月現在、不知火美術館講座「スケッチ・淡彩」にて講師をご担当いただいています。ご興味のある方は、美術館までお気軽にお問合せください。

線について

 縦の線と横の線から絵を見てみましょう。

 ここに描かれた松合の町並みは、「縦」の直線がしっかりとリズムを刻んでいるため、端正な印象です。一方で、軒先やよしずなど「横」の線はとてもやわらか。瓦の重みや葦の軽さが、よく伝わってきます。松合の町並みがもつ立派な歴史(縦の線)とそこに息づく生活のあたたかみ(横の線)が、自然なバランスで表現されています。
 何気ない線のようで、実は繊細に描きこまれているのです。

 私たちの生活には、時の流れや重さ、温度や音など、かたちを持たないものが溢れています。もちろん、そのかたちを描くことはできないのですが、線の1本1本がその気配を伝えてくれるとき、その絵は確かにすばらしい絵だといえるのではないでしょうか。

 一見端正で静かに見える松合の風景、じっと線をみつめると、生活音のざわめきが聞こえてくるような気がしませんか。

作者略歴

1928 熊本県宇土郡不知火町にうまれる
1943 不知火尋常高等小学校を卒業
        満州へ渡り、関東軍司令部に勤務
        新京商業学校を卒業
1945 終戦を迎えるも、シベリアへ抑留される
1948 復員
1949 熊本県庁に勤務(広報課・県立図書館・県立美術館など)
        第1回全国広報功労賞
1951 海老原美術研究所に学ぶ
1952~県美展・熊日総合美術展・西日本美術展等に出品
1963 第18回熊日総合美術展 熊本県知事賞
1965 西日本秀作美術展 招待出品
1971 美術研修のため、フランス・スペイン・ポルトガルを外遊
1977~公募展への出品から、個展中心の作品発表へ変化
        画集『わが城下町』を出版
1980 県の委託により、ブラジル県民会館への寄贈画「城の秋(油彩)」を制作
1981 トルストイ三部作『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』の全挿絵を担当
                          (東海大出版会・北御門二郎訳)
   『おいでおいで』(国土社・松谷みよこ作)の装丁・挿画を担当
   『絵本風土記』(岩崎書店)の装丁・挿画を担当
1987 県庁を退職
        アトリエ4Bを開設
1990 スペイン・ポルトガルへ取材旅行
2001 栗崎英男展(不知火美術館)

基礎情報

作者 : 栗崎英男
題名 : 松合の風景C
制作年: 1993年
材質 : 鉛筆・水彩・紙
寸法 : 44.0×52.0cm