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早崎海峡のイルカ(はやさきかいきょうのいるか)天草市

早崎海峡のイルカのイメージ

所在地

天草市五和町

利用案内

  • 駐車場:イルカウォッチング船を利用するならばそこの駐車場
  • トイレ:イルカウォッチング船の事務所内

解説

とても人なつっこいイルカたち

イルカが通年を通して生息するのは全国でも珍しい!

天草郡五和町と長崎県島原半島南端に囲まれた早崎海峡に生息しているイルカは、ハンドウイルカです。このイルカは、多くの水族館で見られ、ひとなつっこいイルカで有名です。ここのイルカも、昔から漁師などの船の船首波や航跡に乗ったり飛び跳ねるなど水面で活発に行動する姿が観察されたそうです。また、写真のように頻繁に海面に現れる姿も見られます。早崎海峡のイルカたちは、群で回遊するが、遠くへは行かず天草郡五和町の通詞島沖付近を回遊する、根つき(棲みついているという意味)のイルカと呼ばれるものです。時には泳ぐ姿が岸からも肉眼で確認することができ、ひとつの場所に定住する、全国でも非常に珍しいイルカたちなのです。ここのイルカは、2群~3群にわかれ、現在約200頭が生息しています。発情期は周年で、群れから離れたところでの生殖行動がみられます。妊娠期間は11~12ヶ月で出産盛期は春から秋にかけてで、春頃には親子で泳ぐ姿を見ることができます。寿命は40歳以上といわれています。近くの海岸でイルカの骨を見ることがあります。寿命で死んでいったイルカなのかもしれません。しかし、数が減らないところを見ると、誕生するイルカと死んでいくイルカの数のバランスがとれているということなのでしょう。

なぜ、ひとつの場所に定住しているの?

その理由は2つあります。1つは早崎海峡が有明海の入り口に位置し潮流が速く、また海底が起伏に富んでおりえさとなる小魚が多く生息しているということです。また、その小魚たちの産卵場所になっている海草のトサカが豊富に生えているのも小魚が多い理由の1つです。2つ目は、ここの漁師さんたちとの共存です。世界のイルカたちのすべてが我々人間と共存してきたわけではありません。漁場の魚を食い荒らすイルカたちの存在をこころよく思わない人もたくさんいました。しかし、五和町二江地区の漁業は、古来には裸潜り漁業を中心として発展してきました。現在でも80人近くの漁師さんがこの漁法で漁をされているそうです。また、近年の漁船の発達とともに一本釣りや手繰り網漁業なども行われるようになってきたものの、これらの漁船漁業は、イルカのえさとなる小魚類を採る漁業ではないため、イルカと共存することが可能であったといわれています。

どうしたらイルカに出会えるの?

現在、船からのイルカウォッチングがおこなわれています。船に乗ること、数10分でイルカと出会うことができます。あるいは、肉眼で見たかったら五和町の通詞島に行くとよいでしょう。橋がかかっていますので、車で渡ることができます。イルカはこの島の沖にいることが多いので、双眼鏡を持参すれば、レンズ越しに出会えるかもしれません。数年前ここのイルカの研究をされた三重大学の白木原国雄教授は、この島からイルカの回遊するルートを観察され次のような回遊ルートを発見されました。イルカたちは、通詞島を拠点に潮に乗って回遊しています。大潮のときは、回遊する範囲が比較的広いといわれています。満ち潮のときは通詞島より東に行き、遠い時は島原半島の近くまで行くそうです。引き潮の時は、通詞島の西、富岡半島の四季咲岬の近くまで行くこともあるそうです。船をチャーターするか船をお持ちの方は、自分の船で行かれるのもいいかもしれません。しかしこの海峡は潮流が速く、6~8ノットあります。潮を見られて出航されるほうがよいでしょう。わからないところがあれば、五和町役場企画情報課、もしくは五和町観光協会に問い合わせをされるとよいでしょう。イルカウォッチングの業者も紹介してくれます。

イルカとの共存を受け継いで・・・

2000年に早崎海峡のイルカが突然減少しました。代わって鹿児島県の長島海峡などでの目撃が相次いだそうです。早崎海峡のイルカの生態を調査していた三重大学の白木原国雄教授によると、少なくとも70頭近くが移動していることが確認されたそうです。現在少しずつ早崎海峡に戻ってはきているそうですが、環境の変化がイルカに与える影響は大きいようです。原因として考えられることは、イルカウォッチングの影響、そして、近年の有明海に見られる海藻類の減少です。地元の漁師さんによると小魚の産卵場所である海草が激減しサザエやウニも以前に比べて採れなくなってきているそうです。一方でサメの数も増えてきているそうでそういったものも原因と考えられるのかもしれません。イルカウォッチングについては「イルカを追いかけない」「エサをやらない」「潜ってイルカに触らない」「決めた時間以外は船を出さない」等々のルールがあるそうです。自分でウォッチングに行く場合もイルカに対するマナーは忘れたくないものです。

サメやスナメリにも出会えるかも・・・

この海域を船で行くとたまにサメの背びれが見えたり、スナメリが潮を吹く音が聞こえてきたりします。その方向を見ると、スナメリのまるい背中が海面からひょっこり見えたりします。本渡市の佐伊津の沖での目撃情報を耳にしました。(天草一号橋下を通るスナメリもよく目撃されています)

周辺情報

近くには、豪商石本家の屋敷(五和町御領) 富岡城跡(苓北町富岡) 志岐城跡(苓北町志岐) 浦園穴観音(五和町御領) 鬼ノ城石仏群(五和町御領) 東古墳、西古墳(通詞島)、五和町通詞島の風力発電 苓北町の火力発電 五和町歴史民族資料館(通詞島)などがあります。

地図

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